特許法第六十五条(出願公開の効果等)
提供: 特許戦が好きだ
「むごたらしい出願公開の効果等」
(出願公開の効果等) 第六十五条 特許出願人は、出願公開があつた後に特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、出願公開がされた特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対しては、同様とする。 2 前項の規定による請求権は、特許権の設定の登録があつた後でなければ、行使することができない。 3 特許出願人は、その仮専用実施権者又は仮通常実施権者が、その設定行為で定めた範囲内において当該特許出願に係る発明を実施した場合については、第一項に規定する補償金の支払を請求することができない。 4 第一項の規定による請求権の行使は、特許権の行使を妨げない。 5 出願公開後に特許出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したとき、第百十二条〔特許料の追納〕第六項の規定により特許権が初めから存在しなかつたものとみなされたとき(更に第百十二条の二〔特許料の追納による特許権の回復〕第二項の規定により特許権が初めから存在していたものとみなされたときを除く。)、第百十四条〔決定〕第二項の取消決定が確定したとき、又は第百二十五条〔同前:特許無効審判〕ただし書の場合を除き特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、第一項の請求権は、初めから生じなかつたものとみなす。 6 第百一条〔侵害とみなす行為〕、第百四条〔生産方法の推定〕から第百四条の三〔特許権者等の権利行使の制限〕まで、第百五条〔書類の提出等〕、第百五条の二〔損害計算のための鑑定〕、第百五条の四〔秘密保持命令〕から第百五条の七〔当事者尋問等の公開停止〕まで及び第百六十八条〔訴訟との関係〕第三項から第六項まで並びに民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百十九条及び第七百二十四条(不法行為)の規定は、第一項の規定による請求権を行使する場合に準用する。この場合において、当該請求権を有する者が特許権の設定の登録前に当該特許出願に係る発明の実施の事実及びその実施をした者を知つたときは、同条中「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」とあるのは、「特許権の設定の登録の日」と読み替えるものとする。
- 本条は、補償金請求権について規定している。
- 発明の内容を業界紙等に掲載して行う警告は、相手方を特定していないので、ここにいう「警告」には該当しない。[1]
- この「警告」は、権利侵害(特許権侵害)に対する警告とは異なり、警告後の生産中止を求めるものではない。すなわち、この警告は単に相手方を悪意に陥れるための通知であり、将来の保証金請求権行使の際の悪意の証明方法であるというにとどまるものである。(『新・注解特許法』p.964)。[2]
- 本条第一項の後段において、侵害者が「出願公開がされた特許出願に係る発明であることを知つて」いることの立証責任は、出願人側が負う。
- 関連条文
- 特許法第百四条の四(主張の制限)
読み替え
第六項 民法第七百二十四条(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)の準用
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限) 第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、特許権の設定の登録の日から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。
四法対照
(出願公開の効果等) 特許法第六十五条 特許出願人は、出願公開があつた後に特許出願に係る発明の内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対し、その発明が特許発明である場合にその実施に対し受けるべき金銭の額に相当する額の補償金の支払を請求することができる。当該警告をしない場合においても、出願公開がされた特許出願に係る発明であることを知つて特許権の設定の登録前に業としてその発明を実施した者に対しては、同様とする。 …
意匠法第六十条の十二〔国際公表の効果等〕第二項で特許法第六十五条第二項~第六項を準用(同条第五項中「出願公開後」とあるのは「国際公表後」と、同条第六項中「第百一条、第百四条から第百四条の三まで、第百五条、第百五条の二、第百五条の四から第百五条の七まで及び」とあるのは「意匠法第三十八条、同法第四十一条において準用する特許法第百四条の二から第百五条の二〔損害計算のための鑑定〕まで及び第百五条の四〔秘密保持命令〕から第百五条の六まで並びに意匠法第五十二条において準用する特許法」と読み替える)
(出願公開の効果等) 特許法第六十五条 … 2 前項の規定による請求権は、特許権の設定の登録があつた後でなければ、行使することができない。 3 特許出願人は、その仮専用実施権者又は仮通常実施権者が、その設定行為で定めた範囲内において当該特許出願に係る発明を実施した場合については、第一項に規定する補償金の支払を請求することができない。 4 第一項の規定による請求権の行使は、特許権の行使を妨げない。 5 国際公表後に特許出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、特許出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したとき、第百十二条〔特許料の追納〕第六項の規定により特許権が初めから存在しなかつたものとみなされたとき(更に第百十二条の二〔特許料の追納による特許権の回復〕第二項の規定により特許権が初めから存在していたものとみなされたときを除く。)、第百十四条〔決定〕第二項の取消決定が確定したとき、又は第百二十五条〔同前:特許無効審判〕ただし書の場合を除き特許を無効にすべき旨の審決が確定したときは、第一項の請求権は、初めから生じなかつたものとみなす。 6 意匠法第三十八条〔侵害とみなす行為〕、同法第四十一条〔特許法の準用〕において準用する特許法第百四条の二〔具体的態様の明示義務〕から第百五条の二まで及び第百五条の四から第百五条の六〔訴訟記録の閲覧等の請求の通知等〕まで並びに意匠法第五十二条〔特許法の準用〕において準用する特許法第百六十八条〔訴訟との関係〕第三項から第六項まで並びに民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百十九条及び第七百二十四条(不法行為)の規定は、第一項の規定による請求権を行使する場合に準用する。この場合において、当該請求権を有する者が特許権の設定の登録前に当該特許出願に係る発明の実施の事実及びその実施をした者を知つたときは、同条中「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」とあるのは、「特許権の設定の登録の日」と読み替えるものとする。
(設定の登録前の金銭的請求権等) 商標法第十三条の二 商標登録出願人は、商標登録出願をした後に当該出願に係る内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後商標権の設定の登録前に当該出願に係る指定商品又は指定役務について当該出願に係る商標の使用をした者に対し、当該使用により生じた業務上の損失に相当する額の金銭の支払を請求することができる。 …
前条・次条
特許法
特許法第三章の二 出願公開(第六十四条―第六十五条)
- 前条
- 特許法第六十四条の三(同前:出願公開の請求)
- 次条
- 特許法第六十六条(特許権の設定の登録)